これまであまり分析されてこなかったグランドピアノのタッチウエイトですが、スタンウッドの研究を機に最近は次々と新しい研究が発表されるようになってきました。私も独自の研究を踏まえてそこに参加しています。その成果を少しでも広めようとこのブログを継続し展開していくことにしました。 ピアノ技術者向けの内容ですが、一般の方にもわかるような内容を目指したいと思います。
2013年12月2日月曜日
タッチを変える Page 23: アクション全体のタッチの変化を調べる
前回のスライドではバランスウエイトと鍵盤の慣性モーメントをどのようにシュミレートしてどんな作業をすれば良いか、を考える手順を説明しました。
スタンウッドの公式を利用してバランスウエイトを設定して、そこから得られたフロントウエイトを利用して鍵盤の慣性モーメントの値を設定しました。この続きとして、アクション全体の慣性モーメントがどのようになるのかチェックします。上図をご覧ください。この表は先ほどの3つの計算表と連動していて、必要なデータは自動的に表示されます。等価慣性モーメントを算出するために必要なデータはこの表の下の部分に入力します。
この例ではハンマーが0.4g減量したのとパンチングのカットによって比が変わったので、等価慣性モーメントが7%減っています。鍵盤の慣性モーメントは前回のスライドで紹介したうち実際的な鉛移動オプションを選び、11%減っています。
アクション全体の慣性モーメントは結局オリジナルよりも8%減らすことができました。このうち72%がハンマーによるもので、27%が鍵盤によるものです。バランスウエイトは5%減りますし、これらの作業をすることによって確実にタッチが軽くなることが想定されます。
これで、私の提案するタッチ調整方法の流れの説明は終わりです。スタンウッド方式の説明と慣性モーメントの説明、そしてそれを組み合わせて実際にタッチを調整する過程を説明してきました。次のスライドからは実際に個別の部品での調整方法とその効果について説明していきます。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿