2020年4月20日月曜日

ユーチューブ教材 「実際編2 FW基準の鍵盤鉛調整」をアップしました



2020年3月後半から4週間のロックダウンに入る直前に運良くこの仕事を受注することができました。外に出ることができないため撮影などにも時間をかけてまとめることができました。
このビデオでは、適切でないハンマーとシャンクを使って修理されていたブリュッスナーのコンサートピアノを復元する仕事の流れを紹介しています。個々の作業の詳しいやり方は実技編のビデオを参照してください。まだアップしていない作業は今後徐々に補充していきますのでお待ちください。


前編:当該アクションの分析。平衡等式によるタッチウエイト分析とともに、アクションの位置関係の分析も説明しています。

中編:前編での分析に基づき具体的に改造作業を追っていきます。鍵盤鉛調整を行う前の平衡等式の分析まで紹介しています。

後編:FW基準の鍵盤鉛調整に必要な目標FW値の算出法と実際の作業について解説しています。作業前後のタッチウエイトの変化について平衡等式と慣性モーメント計算表を使って総括します。

2019年9月26日木曜日

コンサートのための緊急タッチウエイトマネジメント


先日3日間の室内楽コンサートシリーズの仕事をしました。
I attended Chamber Music Festival last weekend for three days.

ピアノは協賛楽器店からの貸し出しで、今年はAlbert Weber という韓国製の楽器です。
会場はその地域の中心となっている教会で、今までもほぼ毎年調律してきましたが、今回は独立後初めて直接依頼されました。
A piano shop borrowed Albert Weber grand for this series. 



初日は6時半の開演で調律はリハーサル後の4時半から。開場の時間まで約1時間半です。まあ、さすがに今日は調律しかできないだろうと思っていました。
すると、お昼過ぎに3日目に弾くピアニストからメッセージが届きました。「タッチが重くてとても弾きずらいのだがなんとかなるだろうか?特に中音のこの辺とこの辺と、、、、」まずは試し弾きしたようで、かなり焦った感じです。
この日は忙しく会場には4時半ちょっと前に入りました。ピッチを確認すると436Hzあたり。室内楽ですのでピッチはまず440にしないといけないので、今日はタッチまでは触れないなぁ。準備もしてないし。初日のピアニストは私も知っていてどんなコンディションでも弾きこなしてしまう人なので、まずは調律に集中しました。
タッチは確かにすごく重く、3日目のプログラムを見るとフォーレの四重奏曲で、軽く流れる美しいピアノの動きを紡ぎだすのは難しいだろうな、と感じました。先ほどの3日目のピアニストにはひとまずメッセージで「確かにひどく重いけど、明日には何とかはできると思うから」と返信。2日目の3時からリハーサルがあるとの返信が来たので、じゃあ1時に入って2時間でやってみましょうとなりました。

さて、2日目は午後1時に会場入りしました。ポータブル作業台と材料等も持っていきました。アクションを外してみるとキャプスタンの痕がかなりフレンジ寄りになっています。赤いアンダーフェルトと比較するとよくわかります。ウイペンの入力寸法が短くギアレシオが高くなっているのでしょう。シム入れをして当たりを中央に寄せれば効果がありそうです。

One of pianists txted me whether I can lighten touch weight or not.
When I looked at it, yes it's very heavy. I thought I could do shimming whippen heel to change gear ratio. However no time except pitch raising and tuning on first day as I've got only 1 hour and half. I didn't have required material also.

On second day, I brought work bench as well as a bunch of plastic cable ties. Compression mark on whippen heel shows the position of capstan seems is backward from center of red felt. So I inserted a tie between heel cloth and under felt around center of red felt. Then capstan pushes forward to near center which gives longer whippen input length i.e. lowering gear ratio. The result was very satisfactory.

After rehearsal on 2nd day and my work, the pianist txted me she was happy with the touch weight.

半カットしたバランスクロスも持ってきましたが、ヒールを見てウイペンヒールへのシム入れで対処できそうなのでほっとしました。いつもは布ペーパーの細切りを使っていますが、今回は北陸のKさんが使ってうまく効果が出ていると教えてくれた結束バンドを使ってみました。

まずは一鍵だけウイペンを外してシム入れします。ヒールとクロスの隙間はあまりなく、結構きつめでしたのが、バンドはスムーズに入りました。試してみましたが、打鍵の振動でも抜けてくることはなさそうでした。戻して試弾するとなかなか軽くなっていい感じ。これなら満足してもらえるだろうと確信しました。

そこでアクションを外して作業台の上にひっくり返して置き、低音の上の方から中音全部に入れました。全体に見渡してずれているものを微調整してからアクションを戻し、ハンマーならしを行って弾いてみると、やっていなかった次高音の出だし6鍵分が重めだったのでもう一度取り外してその部分にシムを入れて戻して完了。ここまで約1時間。






その後調律を拾ってから、リハーサルを待たずに次の仕事に向かいました。
その仕事をしているとメッセージが来て「弾きやすくなっている!ありがとう!」とのこと。ほっと一息です。

3日目は軽く広い調律をして一応シムのチェック。ずれもへたりもなく問題なしでした。その後コンサートにも行きました。閉演後あいさつに伺ったところ大変感謝され私もほっとしました。




2019年8月15日木曜日

Practical #1, Collecting data, Piano Touch Weight Management

1st video of practical procedure was uploaded. It shows how to collect required data from the action for Touch Weight Management.

2019年8月11日日曜日

ユーチューブ教材 実技編その1をアップロードしました

2019年7月27日土曜日

ユーチューブ教材第一弾をアップロードしました

2019年5月12日日曜日

You Tube を利用した「タッチウエイトマネジメントの方法」解説スタート!

「タッチウエイトマネジメントの方法」の新しい学びの場としてユーチューブチャンネルを作成しました。今回はその手始めとしての予告編です。
今月から来月にかけての日本ツアーが終了してから理論編や作業編などに分けて少しずつアップしていく予定です。
動画で紹介していきますので、特に作業編など今までの手段では手の届かなかった情報もお届けできると思います。どうぞご期待ください。
8月ごろからアップできるよう準備しています。


2019年3月19日火曜日

タッチウエイトマネジメント研修会2019のお知らせ

今年の中村によるタッチウエイトマネジメント関連の講義・研修会の予定です。

5月25日(土)~26日(日) 第21回IAPBT(国際ピアノ製造技師・調律師協会)浜松大会での技術セミナーで2コマ講義を行います。主催は日本ピアノ調律師協会です。

25日:14時30分から16時まで(44会議室)
英語による講義。「Understanding inertial effect in grand action」
26日:10時30分から12時まで(44会議室)
日本語による講義。「慣性の影響を加味したタッチウエイト調整」
両日とも内容はほぼ同じです。
詳細・参加申し込みは日本ピアノ調律師協会の専用ホームページからどうぞ。

Yuji will be presenting two classes about touch weight especially focusing on inertial effect at 21st IAPBT (International Association of Piano Builders and Tuners) Conference Hamamatsu hosted by JPTA (Japan Piano Tuners Association) on 25th and 26th May.
Yuji is appearing as below:
25th: Session will be given in English, "Understanding inertial effect in grand action" at Room 44 from 14:30 pm to 16:00 pm
26th: Session will be given in Japanese, same contents as 25th, at Room 44 from 10:30 pm to 12:00 pm
Please see details on the website here.

通常研修会は以下の3会場です。
5月29(水)・30日(木) 直江津会場 1日半研修会 
     ニッピ信越支部主催 ホテルハイマート直江津にて
     入門編~初級編~中級編を計画しています。
       お問い合わせはニッピ信越支部か中村(yuji3804@gmail.com)まで

6月2日(日) 札幌会場(芸専主催) 全日研修会 
     北海道芸術専門学校卒業生有志主催
      ・現場で使えるタッチウエイト調整方法
      ・タッチウエイトマネジメントのダイジェスト解説
     卒業生でなくとも参加できます。
     参加費卒業生2,000円、その他3,000円

6月4日(火)・5日(水)札幌会場(ニッピ主催) 2日間研修会 
     ニッピ北海道支部主催
     初級~中級~上級:講義と実技を通してタッチウエイトマネジメントを学んでいただきます。      
        お問い合わせはニッピ北海道支部か中村(yuji3804@gmail.com)まで

Yuji will be giving seminars at three places in Japan, Nao-etsu (hosted by JPTA Shin-etsu branch, 29th & 30th May), Sapporo (hosted by graduates of Hokkaido Music Academy, 2nd June) and Sapporo (hosted by JPTA Hokkaido branch 4th & 5th June) in 2019. All seminars will be given in Japanese.



2018年11月11日日曜日

タッチウエイトマネジメント研修会2018 名古屋・大阪・北陸会場は終了しました


北陸会場の一場面

名古屋会場 (1 day introductory course in Nagoya)
今年の名古屋会場は日本ピアノ調律師協会中部支部の主催で行われました。今回初めてとなるため、初級編です。タッチウエイトについて解説したのち、グループごとにスタンウッド測定を体験いただきました。ストライクレシオを計算した後いくつかの要素を変更してそのタッチ感の変化を味わい、バランスウエイトを測定してその変化を考えました。
また、3要素関連表や平衡等式の使い方を実習し、スマートチャートも作成しました。

 タッチウエイトの変化を体験中 (Experiencing changing touch weight)

スタンウッド測定 (Measuring each element of Stanwood protocol)

大阪会場 (2 x one day intermediate course in Osaka)
大阪会場は昨年同様日本ピアノ調律師協会関西支部の主催により行われました。昨年2日間の研修会で初級から中級までやっていたので、今回は中級を中心に行いました。冒頭の講義では復習に加えて昨年以降に新たに開発した内容も含めました。
スタンウッド測定をやってストライクレシオを計算した後、慣性モーメント計算に必要な要素を測定し、実際に換算慣性モーメントも計算してみました。
その後3要素関連表の使い方、平衡等式を利用した分析方法、スマートチャートを利用したHSWの調整方法などを演習し、簡単な実習を行いました。ハンマーへの鉛入れ・ハンマーのテーパー削り、バランスパンチングクロスの半カットなど実際に体験していただきました。今回は少人数での実技を含めた研修会を計画したので、希望者を2グループに分け、それぞれ一日ずつ研修会を行いました。

スタンウッド測定  (Measuring each element of Stanwood protocol)

数値の検討をする参加者 (Discussing about given figures)

北陸会場 (2-days practical course in Hokuriku) 
北陸会場は一昨年と昨年に続き3年目の研修会です。日本ピアノ調律師協会北陸支部の主催で行われました。今回は実習に徹し、少人数で一台を仕上げることを目標にしました。必要なデータは前日の準備で参加者で都合の付く方有志で採集しました。
1日目は簡単な復習の後3グループ(低音3名、中音3名、高音3名)に分かれ、さっそく鍵盤とウイペン、そしてハンマーの加工に取り掛かりました。
実際にやりながらポイントを説明したり、空いた時間にその作業の目的ややり方を説明して進めたので実技のツボを深く体験できたのではないかと思います。
作業は思ったより早く進み、一日目でかなりの部分の作業を終了できました。
2日目は鍵盤バランスピンを磨いたり、ダンパーの掛かりを再調整したり、一日目で終わらなかった作業を進めたりと並行して行いました。
昼ごろに整調まで終わったので、SRの微調整を行いました。ウイペンのシムは中央に入れてあったのでBWが少ないものはシムをフレンジ側に、BWがまだ大きすぎるものはシムをジャック側に動かしその変化を観測しました。最終的には設定した目標BWにかなり近く揃えることができました。試弾をして作業前とのタッチ感を比較して研修会を終えました。
鍵盤鉛穴の穴あけ  (Bore hole for key lead)

ウイペンフレンジのトルク調整 (Re-center whippen flanges)

各種鍵盤鉛が用意されています (Several sizes of key lead were ready to use)

ハンマーのテーパ加工 (Tapering hammer to lighten the SW)

バランスパンチングクロスの半カットのための接着剤塗布 (Put glue to key stick to change Strike Ratio)

不要になった鍵盤鉛の穴は埋め木し、黒色塗料を塗ります (Blacken sharp keys)

ハンマーテール加工は用意した捨てハンマーで体験しました (Tail hammer with the jig)

整調後DWとUWを測定しBWが目標よりずれているものを、ウイペンのシムを動かしてSRを微調整することによりより均一なタッチウエイトを実現します (Measure BW to do  fine adjustment of Strike Ratio)


2018年10月30日火曜日

中部太平洋ピアノ技術者コンフェレンス2018



ピアノテクニシャンズギルド(アメリカ協会)ハワイ支部主催による中部太平洋ピアノ技術者コンフェレンス2018に参加しました。オーストラレージア協会も協賛として関わっています。参加者は少なめでしたがオーストラリア・ニュージーランド・カナダ・アメリカ本土からの参加がありました。

オーストラレージアン協会からは、会長であるマイケル・ライアンがダンパーの講義、副会長である私がタッチウエイトの講義を行いました。他にアメリカ本土からの講師、ディーン・レイボーンやランディ・ポッターなどのお馴染みの顔もありました。

私の講義は1時間20分、アメリカ系の技術者はスタンウッドについてはよく知っている人が多いので、スタンウッドのカバーしていないが重要なテーマである慣性モーメントについて集中的に話しました。このテーマでは具体的な内容は、アメリカでもまだ出版もセミナーも開かれていないので、かなり聴講者の興味を引いたようです。
今回使ったスライドショーのPDFファイル版を配布しましたが、半数以上の参加者が申し込んでくれました。PTGの現会長含め多くの人から大変好意的なフィードバックをいただき、より自信を深めることができました。
オーストラリアからの参加者はすでに以前のコンベンションでも私の講義を受講している人が多かったのですが、内容がより深く分かりやすくなった、とお褒めいただきました。
「タッチウエイトマネジメントの方法」英語版を望む声も少なからずあり、役に立つ助言もいただいたので、今後しばらくその実現に向けて注力していきます。
日本での研修会ではこの講義の一部を抽出して使用します。今回配布した英語版のPDFは日本での研修会終了後私のウェブサイトからダウンロードできるようにする予定です。

講義の様子

2本のレバーを用意し慣性モーメントを変えて角加速度の違いを比較しました。

ギアレシオの説明には新しく考案した図を使って説明しました

今回の全参加者

ワイキキそばにあるダイアモンドヘッドからの眺望


2018年7月6日金曜日

タッチウエイトマネジメント研修会2018のお知らせ



お待たせしました。中村によるタッチウエイトマネジメント研修会2018の計画が決まりました。今年はハワイで行われる中部太平洋ピアノコンフェレンスと日程を揃えるために11月の開催となります。

10月22日(月)~25日(木) 中部太平洋コンフェレンス in Hawaii 
ピアノテクニシャンズギルド(アメリカ協会)主催、オーストラレージアピアノ調律師協会協賛で行われます。

22日は参加登録、23日~25日の午前中に複数の講義が並行して行われる予定です。中村の講義は1時間20分枠で2コマ予定されていますが、どの日になるかは未定です。英語での講義ですが、日本からの参加者がある程度いる場合は日本語も併用する予定です。1つはタッチウエイトに問題がある場合のトラブルシューティング、もう一つは慣性モーメントのタッチウエイトへの影響、の予定です。
参加申し込みはPTGのウェブサイトからどうぞ。
お問い合わせは中村 まで

Yuji will be giving one or two class/es about touch weight topic at Mid-Pacific Piano Conference, Waikiki, Hawaii held in October 22nd to 25th.

11月3日(土) 名古屋会場 全日研修会 
      ニッピ中部支部主催 中部楽器技術専門学院にて
      入門編~初級編を計画しています。
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11月5日(月) 大阪会場 全日研修会(5・6日の2日間研修会の可能性もあり) 
      ニッピ関西支部主催
      中級・上級編あるいは実技編を計画しています。

11月8日・9日(木・金)金沢会場 2日間研修会 
      ニッピ北陸支部主催
      実技編です。実際に一台のピアノを仕上げる予定です。
      実技参加者6名枠(参加費会員2日間で1万円、非会員同2万円昼食込み)
      オブザーバー参加可。ただし質問や実技参加はできません。
      (参加費:会員は1日あたり1000円、非会員は同2000円昼食込み)

11月14日(水) 東京会場 全日研修会 
      ニッピ関東支部主催
      中級編を予定しています。

中村は来年2019年5月に予定されている世界ピアノ技術者製作者協会・浜松大会に参加するために訪日する予定です。研修会も訪日中に開催可能です。研修会の開催に興味のある団体・グループは中村までお問い合わせください。

Yuji will be giving seminars at four places in Japan, Nagoya (3rd Nov.), Osaka (5th Nov), Kanazawa (8th & 9th Nov.) and Tokyo (14th Nov.) in 2018. 



2018年1月27日土曜日

Bosendorfer action, Touch Weight Management



Bosendorfer grand action, rebuilt in Poland, was coming to our workshop to modify touch weight and get servicing.
This action showed typical polish rebuilding quality as usual i.e. poor details even cosmetically good. It has new hammers & shanks. Major worn parts were replaced. But there were many details where not good enough for the level which the client wanted to play such as too heavy touch weight, poor regulation, limited tonal possibilities. The client wanted to have standard touch weight because of too heavy at the moment. Also expected good variety of tonal palette as well as comfortable play-ability. 

今年一台目の仕事はタッチウエイトマネジメントでした。大ボスが持ち込んできたこのピアノ、ポーランドで大修理されたものだそうです。ポーランド修理のピアノは他にも見たことがありますが、ほとんどが「外装はきれいだが内装は?」の品質が定番ですが、このピアノも果たしてその通りでした。ハンマーやシャンクは新品、各部のフェルト・クロス類も交換されています。
顧客はアマチュアのピアニスト、買ったは良いがタッチが重すぎて弾けないからなんとかしてほしいとの要望。

Initial observation showed below results;
- Hammers were not tapered nor tailed 
- Knuckles were lubricated (?) with too much graphite (photo below)
- Key balancing was done. it seemed OK cosmetically.
- Key bushings were all tight, balance holes are loose
- Shank & whippen flanges seemed tight  
- Strike ratio by 2g weight was 5.8.

初期観察の結果、
①ハンマーのテーパーやテール加工がされていない、
②ローラーがジャックが触れないところも含めてべったりと黒くなっている(下写真参照)
③鍵盤鉛はそこそこ悪くなさそう。やった形跡はあり、
④鍵盤ブッシングがガタなし。バランスホールはスカスカ。
⑤シャンクフレンジとウイペンフレンジは固めなのでトルク調整要
⑤2gおもりによるSRは5.8、と意外に悪くない。

Too much graphite was applied

The elements of Equation of Balance by Stanwood protocol were like below:
- BW: 37g to 40g, Standard
- SW: #8 (3/4 medium) ~ #9 (Top medium)
- FW: relatively lighter side in bass and tenor, similar to ceiling level
- KR: 0.44 ~ 0.47 within 6 sample notes, smaller ratio and uneven
- SR: 5.4 ~ 5.6, relatively smaller than normal action 
- F: 12 g ~ 17 g, normal to a bit bigger 

These figures show actually it is within reasonable standard, but it is felt if one played it. I supposed friction was the main cause especially key bushings. 

サンプル鍵盤でのスタンウッド測定の結果は、
BW:37g~40g で標準
HSW:#8~#9
FW:低中は比較的軽め、次高はシーリング値付近
KR:0.44~0.47と普通より小さめでばらつき大きい
SR:5.4~5.6と普通より小さめ
F:12g~17g

これらの数値から見るとスタンウッドの標準値から見ると意外なほど悪くないわけですが、実際の弾いた感じはかなり重いのです。フリクションの影響がかなり大きいのではないかと思われました(特に鍵盤ブッシング)。

See first half of the SW in the smart chart below which they are plotted in blue for even numbers. The green line shows target level. Red dot at mid-C is adjusted as sample. It was not felt so heavy in top treble section, so the hammers there were not required much reduction. 

偶数鍵のスマートチャートは次の通り。サンプルで試した40Cはテーパー削り済で赤印。他はオリジナルの値。緑線が目標HSWライン。高音部は現状で重すぎないため、無理して削らないカーブにしました。低音の上の方と中音部が特に重めなのがわかります。

SW (even numbers) plotted on Smart chart in blue

As SR was low even from standard already, it can't be decreased because the action may need too deep key depth to get after touch due to lower action ratio. So in this case, reducing hammer weight and treating Friction would be the area needed to be done first. The FW values could be adjusted by calculation of Stanwood's equation of balance before assembling. then see how SR can be adjusted later. 

方向性としてはHSWを中低音を中心になるべく軽く揃えて、フレンジ・鍵盤ブッシング・ローラーなどのフリクション部分をしっかり調整し、鍵盤鉛はFW基準で事前に調整、そして整調まで仕上げた段階でSR調整をするかどうか決めることにしました。

Re-centering shank flanges, blush knuckles, adjusting SW, pre-voicing and tailing while hammers are out

Weight before and after tapering

HSW調整では削る前の重さを量り、削った後に必要量減ったかどうか比較します。HSW測定のやり方をする必要はありません。

Smart chart, completed SW (red)

Completed SW adjustment shows smart chart above. Maximum 1.1 g of reduction. No hammer lead was needed.

奇数鍵も含めて仕上がった段階のスマートチャート。赤点が仕上がり。最大1.1gの減量をしました。ハンマー鉛入れの必要はありませんでした。

FW graph, Blue: original, Green: target and red: FW ceiling by Stanwood

Key balancing was done with traditional way in Poland I supposed. FW graph shows really uneven weighting result. Due to variety of friction level, uneven SW (blue in smart chart above) and FW, the action should be felt very unevenly. 
With this work, SW and FW were adjusted smoothly and F was corrected to standard. Final touch weight will be much better. More variety if we find still will be caused by uneven SR which is expected by uneven KR.

FWのグラフ。赤線がシーリング、ぎざぎざの青線がオリジナル、滑らかな緑線が目標FW値(仕上げは±1gで調整しました)。

After regulation, the action was played and measured to check touch weight. It was felt slightly still heavy on white keys in tenor and bass. Those areas showed actually higher KR (and SR) at initial measurement. So we decided reducing SR by cutting balance punching cloths in the area (only white keys). Cut 1/3 in tenor and 1/2 in bass by reflection of KR figure.

整調をある程度やったところで試弾。大ボスと打ち合わせの上、中音から低音の白鍵をもう少し軽くしたい、ということでパンチングクロスをカットしました。KRが中音白0.45黒0.44、低音は白0.46黒0.44だったので、低音白は半カット、中音白は三分の一カットにしました。

Gluing half cut punching cloths in bass

1/3 cut cloth doesn't need gluing to key stick or paper washer

中音白鍵はクロスの穴を残す形でカットしたので、そのまま貼らずに入れてあります。低音は半カットして既存のパンチングペーパーに貼ることにしました。

整調を軽く見直しておしまいです。

The work completed followed by touch up regulation. The action was returned and set up to the piano.

3 days Touchweight Management seminar lead by myself will be held in Sydney, Australia in April 2018. Please contact me at yuji3804@gmail.com if you are interested in participating it.

2018年1月25日木曜日

ベーゼンドルファーのタッチウエイトマネジメント



今年一台目の仕事はタッチウエイトマネジメントでした。大ボスが持ち込んできたこのピアノ、ポーランドで大修理されたものだそうです。ポーランド修理のピアノは他にも見たことがありますが、ほとんどが「外装はきれいだが内装は?」の品質が定番ですが、このピアノも果たしてその通りでした。ハンマーやシャンクは新品、各部のフェルト・クロス類も交換されています。

顧客はアマチュアのピアニスト、買ったは良いがタッチが重すぎて弾けないからなんとかしてほしいとの要望。

初期観察の結果、
①ハンマーのテーパーやテール加工がされていない、
②ローラーがジャックが触れないところも含めてべったりと黒くなっている(下写真参照)
③鍵盤鉛はそこそこ悪くなさそう。やった形跡はあり、
④鍵盤ブッシングがガタなし。バランスホールはスカスカ。
⑤シャンクフレンジとウイペンフレンジは固めなのでトルク調整要
⑤2gおもりによるSRは5.8、と意外に悪くない。


サンプル鍵盤でのスタンウッド測定の結果は、
BW:37g~40g で標準
HSW:#8~#9
FW:低中は比較的軽め、次高はシーリング値付近
KR:0.44~0.47と普通より小さめでばらつき大きい
SR:5.4~5.6と普通より小さめ
F:12g~17g

これらの数値から見るとスタンウッドの標準値から見ると意外なほど悪くないわけですが、実際の弾いた感じはかなり重いのです。フリクションの影響がかなり大きいのではないかと思われました(特に鍵盤ブッシング)。

偶数鍵のスマートチャートは次の通り。サンプルで試した40Cはテーパー削り済で赤印。他はオリジナルの値。緑線が目標HSWライン。高音部は現状で重すぎないため、無理して削らないカーブにしました。低音の上の方と中音部が特に重めなのがわかります。

方向性としてはHSWを中低音を中心になるべく軽く揃えて、フレンジ・鍵盤ブッシング・ローラーなどのフリクション部分をしっかり調整し、鍵盤鉛はFW基準で事前に調整、そして整調まで仕上げた段階でSR調整をするかどうか決めることにしました。

まずはフレンジのトルク調整、事前針刺しもします。

HSW調整では削る前の重さを量り、削った後に必要量減ったかどうか比較します。HSW測定のやり方をする必要はありません。

奇数鍵も含めて仕上がった段階のスマートチャート。赤点が仕上がり。最大1.1gの減量をしました。ハンマー鉛入れの必要はありませんでした。

FWのグラフ。赤線がシーリング、ぎざぎざの青線がオリジナル、滑らかな緑線が目標FW値(仕上げは±1gで調整しました)。

整調をある程度やったところで試弾。大ボスと打ち合わせの上、中音から低音の白鍵をもう少し軽くしたい、ということでパンチングクロスをカットしました。KRが中音白0.45黒0.44、低音は白0.46黒0.44だったので、低音白は半カット、中音白は三分の一カットにしました。


中音白鍵はクロスの穴を残す形でカットしたので、そのまま貼らずに入れてあります。低音は半カットして既存のパンチングペーパーに貼ることにしました。

整調を軽く見直しておしまいです。

2017年12月4日月曜日

2018年・2019年タッチウエイトマネジメント研修会のご案内

2018年のタッチウエイトマネジメント研修会は10月~11月に予定しています。研修会の要望が多い場合には、日程の都合上分散開催とし上記日程に入らない会場を2019年5月~6月に行います。

先日これまで研修会を行った会場と新たに開催の打診のあった会場に案内状をメール等にてお送りしました。(これまで研修会を行ったことのある地域とその主催者は過去ログをご参照ください)

今まで開催したことのある会場には実習編を提案しました。基本的に2日間のプログラムで1台を作業して仕上げます。基礎的な知識や計測方法はすでに知っているものとして作業全体の構成を学び、作業前後でのタッチの違いを体験します。

新規に開催する計画の会場には、基礎編・初級中級編を提案しています。タッチウエイトマネジメントの基礎知識を簡単な実習を通して学んでいただきます。

この研修会の開催に興味のある団体・個人で今回の案内を受け取っていない方は中村まで直接お問い合わせください。yuji3804@gmail.com

(追記)日本での研修会に先立ち2018年4月にオーストラリア・シドニー市にて3日間のタッチウエイトマネジメント実習研修会を開催します。(すでに定員一杯です)

Touch Weight Management seminar in Japan will be planned from October to November 2018. It will be additional dates from May to June 2019 if more than 6 seminars are asked. The finalized plan will be announced in March 2018. 

TWM seminar will be held in Sydney, Australia, in April 2018. It will be a 3-days practical session. Maximum 9 participants are proposed, however it's already full. Please contact Mark Bolsius at Touchstone Pianos, Melbourne, Australia at mark@touchstonepianos.com.au for inquiry.

Yuji is available if you were interested in hosting TWM seminar in your area. Please email to yuji3804@gmail.com for inquiry. 


2017年8月3日木曜日

スタインウェイB型のタッチウエイトマネジメント(続)

前回紹介したスタインウェイB型の仕事が終わりました。

まず偶数鍵のハンマーを外して下整音、センターのトルク調整、HSW測定をしました。
HSWをスマートチャートにプロットして傾向線を書き入れます。調整幅を考え鉛筆線のような感じに決めました。指標8.5、次高音からやや重めに持っていきます。最高音部はタッチウエイト上この程度では問題ないので、なるべく加工を最小限にするようにしました。


ベルトサンダーでの減量加工、ハンマー鉛での増量加工を経てアクションに戻します。
同様に奇数鍵のハンマーも加工します。次のスマートチャートで赤点のように仕上げました。


ウイペンはフレンジのトルク調整とスプリング溝の木殺しを行い、ヒールクロスに0.5mm厚の布ペーパーを挟み込みます。ストライクレシオを下げる方向ですのでジャック側に入れていきます。
ウイペン装着の際にスプレッド寸法を確かめます。低音から中音にかけて特に短めだったのでレールの上に薄板を挟み込み112.5mmに合わせます。

整調では特にバックチェックの合わせが全くできていませんでした。チェックされたハンマーを押すと軽く落ちて行ってしまうし、止まる位置も低すぎ(バックチェックが高すぎ)、バックチェックスキンがゆるゆるでした。正常に働くよう処置をします。

今回、サンプルを測った段階で鍵盤レシオが0.5~0.53とかなりのばらつきがあったので、ストライクレシオもかなりばらつきがあるのを見越してFW基準の鍵盤鉛調整を行いました。(作業前のFWは下表青色の線)

まず表計算ファイルを使い平衡等式からフロントウエイト値を求めます。

FW=KR・WW+HSW・SR-BW

ウイペンウエイトと鍵盤レシオはサンプルの平均値を用い、ハンマーストライクウエイトは実際値、ストライクレシオは平均値、目標バランスウエイトは今回は38gとして計算しました。
FW測定の要領でセットした鍵盤に鉛を載せて、計算で出したFW値になるよう鉛の位置決めをします。事前に手前の鉛は一つずつ抜いておきました。
加工は通常通り行います。最終FWは、HSWの傾向線と同様の滑らかさを持って調整されました。(下表赤色の線)


FW基準の鉛調整を行った場合は次にSR微調整を行います。各鍵盤のDWとUWを測定してBWを求め、BWのばらつきを取るようにSRを調整します。今回は38gを1.5g下回るもの、つまりBW36.5g以下になってしまっている鍵盤はレシオを低くし過ぎていると考えられるので、レシオを高く調整しなおします。ヒールに差したペーパーを奥(フレンジ側)に移動することでレシオを高くできるので、ペーパーの位置を加減して調整しました。ペーパーはジャック側に入れてあるのでこれ以上レシオを下げることはできません。残念ながらバランスパンチングクロスの半カットも使えないので、一部BW40gを超える鍵盤もありましたが、レシオの高すぎるものは許容範囲内としてこれ以上は追いかけませんでした。

2017年7月23日日曜日

スタインウェイB型のタッチウエイトマネジメント

あるピアノの先生が古いカワイの代わりに中古で購入したスタインウェイのB型。それほど前ではない時期にハンマーとウイペンが交換されています。このピアノが特殊なのは、ニューヨーク製の本体にハンブルグ製のウイペンとハンマーが装着されている点です。意図的に行われたというよりは手に入りやすいものを使ったと考えられます。

昨年購入したそうですがタッチが重く弾きづらいとのことで事前チェックに伺いました。詳しく話を聞くと、全般的に重いという前提の上で、特に低音域でピアニッシモでの速いパッセージを弾く時に音が出づらく抜けてしまうことがあるとのことでした。またタッチのばらつきもあり、とても弾きづらいそうです。

アクション全景

チェックで見えてきた状況は次の通り。
1、ダンパーのかかりが5mmから10mmで早すぎで、ダンパーペダルを使わない演奏では初動で指に重さが掛かり弾きづらいと思われる。また、W型ダンパーフェルトが弦に深く食い込んでおり、弦から離れる時の抵抗が意外とピアニッシモでは引っかかるのではないか。
2、スプレッド寸法が低音111mm、高音112mmとかなり短め。ウイペンレールには何も挟まれていないので、ウイペン・ハンマー交換時にこの寸法は調整されていないようだ。この寸法が短いとウイペン入力寸法・出力寸法両方に影響があるが、入力寸法の方により大きな影響をもたらすので、ギアレシオが高くなっていると思われる。
3、シャンクフレンジとウイペンフレンジがスティック気味のため当然重く、動きづらく感じる。
4、ストライクレシオは5.6から6.2とばらつきが大きい。これはサンプル鍵での鍵盤レシオが5.0から5.3とかなりばらついていることが原因の一つで、横からキャプスタンのラインを見通すと前後に明らかにわかるばらつきがある。
5、ハンマーストライクウエイトは指標8から9で意外と重くはなく揃いも悪くは無い。
6、フロントウエイトはシーリング値辺りから+6gで、やや重すぎ傾向である。
7、鍵盤鉛は「アクセラレーテットアクション」での説明とは異なり一般的な手前に寄せた配列になっている。低音大4~5個、中音大2~4個、次高音大1~2個、とやや多めに見える。DWの数字と足された鉛の様子から、以前のハンマー交換の際に伝統的なDW基準の鉛調整が行われたことが想像される。

ウイペンとシャンクを両方ハンブルク製に交換してあるので、その部分での問題はありませんでした。キャプスタンも直立で植えられており、通常のアクションの動きをしています。


手前寄りから間隔良く入れられた鍵盤鉛:本来アクセラレーテットアクションでは慣性モーメント軽減のため鉛はバランスピン寄りに配列されると解説されている。このピアノでは工場出荷状態でこのような鉛入れをされている。

アクセラレーテットアクションのもう一つの特徴であるかまぼこ型バランスクロスブロックは健在

データを検討した結果次の作業を提案しました。
1、W型ダンパーフェルトのトリミングと掛かり調整
2、アクションの全フレンジのトルクチェックと再調整
3、アクションスプレッド寸法の基準値への調整
4、ハンマーストライクウエイト調整
5、ウイペンヒールへの薄板挿入によるストライクレシオの削減とばらつき修正
6、鍵盤手前中央付近に重心を置いた鍵盤鉛配置
7、コンサート演奏レベルでのペダル調整、整調と整音・調律

この仕事での重要なポイントは2つあり、ひとつはスプレッド寸法を適切に設定しなおすところ。ギアレシオのタッチウエイトへの影響を把握していないと見過ごしてしまうところです。
もう一つは、キャプスタンスクリューの位置のばらつきをヒールへの薄板挿入の位置調整によって相殺させるところです。これはFW基準の鍵盤鉛調整を行った上で、BWを見ながらヒールの薄板位置を調整することで可能になります。
なお、かまぼこ型バランスクロスブロックですとクロスを半カットすることによるレシオ調整は効き目がかなり少ないので、今回ここには手を付けません。

現在アクションを引き取って作業を開始しています。何か面白い発見があれば続報を投稿する予定です。