2019年9月26日木曜日

コンサートのための緊急タッチウエイトマネジメント


先日3日間の室内楽コンサートシリーズの仕事をしました。
I attended Chamber Music Festival last weekend for three days.

ピアノは協賛楽器店からの貸し出しで、今年はAlbert Weber という韓国製の楽器です。
会場はその地域の中心となっている教会で、今までもほぼ毎年調律してきましたが、今回は独立後初めて直接依頼されました。
A piano shop borrowed Albert Weber grand for this series. 



初日は6時半の開演で調律はリハーサル後の4時半から。開場の時間まで約1時間半です。まあ、さすがに今日は調律しかできないだろうと思っていました。
すると、お昼過ぎに3日目に弾くピアニストからメッセージが届きました。「タッチが重くてとても弾きずらいのだがなんとかなるだろうか?特に中音のこの辺とこの辺と、、、、」まずは試し弾きしたようで、かなり焦った感じです。
この日は忙しく会場には4時半ちょっと前に入りました。ピッチを確認すると436Hzあたり。室内楽ですのでピッチはまず440にしないといけないので、今日はタッチまでは触れないなぁ。準備もしてないし。初日のピアニストは私も知っていてどんなコンディションでも弾きこなしてしまう人なので、まずは調律に集中しました。
タッチは確かにすごく重く、3日目のプログラムを見るとフォーレの四重奏曲で、軽く流れる美しいピアノの動きを紡ぎだすのは難しいだろうな、と感じました。先ほどの3日目のピアニストにはひとまずメッセージで「確かにひどく重いけど、明日には何とかはできると思うから」と返信。2日目の3時からリハーサルがあるとの返信が来たので、じゃあ1時に入って2時間でやってみましょうとなりました。

さて、2日目は午後1時に会場入りしました。ポータブル作業台と材料等も持っていきました。アクションを外してみるとキャプスタンの痕がかなりフレンジ寄りになっています。赤いアンダーフェルトと比較するとよくわかります。ウイペンの入力寸法が短くギアレシオが高くなっているのでしょう。シム入れをして当たりを中央に寄せれば効果がありそうです。

One of pianists txted me whether I can lighten touch weight or not.
When I looked at it, yes it's very heavy. I thought I could do shimming whippen heel to change gear ratio. However no time except pitch raising and tuning on first day as I've got only 1 hour and half. I didn't have required material also.

On second day, I brought work bench as well as a bunch of plastic cable ties. Compression mark on whippen heel shows the position of capstan seems is backward from center of red felt. So I inserted a tie between heel cloth and under felt around center of red felt. Then capstan pushes forward to near center which gives longer whippen input length i.e. lowering gear ratio. The result was very satisfactory.

After rehearsal on 2nd day and my work, the pianist txted me she was happy with the touch weight.

半カットしたバランスクロスも持ってきましたが、ヒールを見てウイペンヒールへのシム入れで対処できそうなのでほっとしました。いつもは布ペーパーの細切りを使っていますが、今回は北陸のKさんが使ってうまく効果が出ていると教えてくれた結束バンドを使ってみました。

まずは一鍵だけウイペンを外してシム入れします。ヒールとクロスの隙間はあまりなく、結構きつめでしたのが、バンドはスムーズに入りました。試してみましたが、打鍵の振動でも抜けてくることはなさそうでした。戻して試弾するとなかなか軽くなっていい感じ。これなら満足してもらえるだろうと確信しました。

そこでアクションを外して作業台の上にひっくり返して置き、低音の上の方から中音全部に入れました。全体に見渡してずれているものを微調整してからアクションを戻し、ハンマーならしを行って弾いてみると、やっていなかった次高音の出だし6鍵分が重めだったのでもう一度取り外してその部分にシムを入れて戻して完了。ここまで約1時間。






その後調律を拾ってから、リハーサルを待たずに次の仕事に向かいました。
その仕事をしているとメッセージが来て「弾きやすくなっている!ありがとう!」とのこと。ほっと一息です。

3日目は軽く広い調律をして一応シムのチェック。ずれもへたりもなく問題なしでした。その後コンサートにも行きました。閉演後あいさつに伺ったところ大変感謝され私もほっとしました。




2019年8月15日木曜日

Practical #1, Collecting data, Piano Touch Weight Management

1st video of practical procedure was uploaded. It shows how to collect required data from the action for Touch Weight Management.

2019年8月11日日曜日

ユーチューブ教材 実技編その1をアップロードしました

2019年7月27日土曜日

ユーチューブ教材第一弾をアップロードしました

2019年5月12日日曜日

You Tube を利用した「タッチウエイトマネジメントの方法」解説スタート!

「タッチウエイトマネジメントの方法」の新しい学びの場としてユーチューブチャンネルを作成しました。今回はその手始めとしての予告編です。
今月から来月にかけての日本ツアーが終了してから理論編や作業編などに分けて少しずつアップしていく予定です。
動画で紹介していきますので、特に作業編など今までの手段では手の届かなかった情報もお届けできると思います。どうぞご期待ください。
8月ごろからアップできるよう準備しています。


2019年3月19日火曜日

タッチウエイトマネジメント研修会2019のお知らせ

今年の中村によるタッチウエイトマネジメント関連の講義・研修会の予定です。

5月25日(土)~26日(日) 第21回IAPBT(国際ピアノ製造技師・調律師協会)浜松大会での技術セミナーで2コマ講義を行います。主催は日本ピアノ調律師協会です。

25日:14時30分から16時まで(44会議室)
英語による講義。「Understanding inertial effect in grand action」
26日:10時30分から12時まで(44会議室)
日本語による講義。「慣性の影響を加味したタッチウエイト調整」
両日とも内容はほぼ同じです。
詳細・参加申し込みは日本ピアノ調律師協会の専用ホームページからどうぞ。

Yuji will be presenting two classes about touch weight especially focusing on inertial effect at 21st IAPBT (International Association of Piano Builders and Tuners) Conference Hamamatsu hosted by JPTA (Japan Piano Tuners Association) on 25th and 26th May.
Yuji is appearing as below:
25th: Session will be given in English, "Understanding inertial effect in grand action" at Room 44 from 14:30 pm to 16:00 pm
26th: Session will be given in Japanese, same contents as 25th, at Room 44 from 10:30 pm to 12:00 pm
Please see details on the website here.

通常研修会は以下の3会場です。
5月29(水)・30日(木) 直江津会場 1日半研修会 
     ニッピ信越支部主催 ホテルハイマート直江津にて
     入門編~初級編~中級編を計画しています。
       お問い合わせはニッピ信越支部か中村(yuji3804@gmail.com)まで

6月2日(日) 札幌会場(芸専主催) 全日研修会 
     北海道芸術専門学校卒業生有志主催
      ・現場で使えるタッチウエイト調整方法
      ・タッチウエイトマネジメントのダイジェスト解説
     卒業生でなくとも参加できます。
     参加費卒業生2,000円、その他3,000円

6月4日(火)・5日(水)札幌会場(ニッピ主催) 2日間研修会 
     ニッピ北海道支部主催
     初級~中級~上級:講義と実技を通してタッチウエイトマネジメントを学んでいただきます。      
        お問い合わせはニッピ北海道支部か中村(yuji3804@gmail.com)まで

Yuji will be giving seminars at three places in Japan, Nao-etsu (hosted by JPTA Shin-etsu branch, 29th & 30th May), Sapporo (hosted by graduates of Hokkaido Music Academy, 2nd June) and Sapporo (hosted by JPTA Hokkaido branch 4th & 5th June) in 2019. All seminars will be given in Japanese.