2017年3月9日木曜日

ヤマハC7のハンマー交換

ヤマハC7のハンマー交換をしています。
Hammer replacement job with Touch Weight Management of Yamaha C7.

かなり新しいピアノですが豪華客船の備品で過酷な使用のため弦跡がひどく音質も痩せていました。そのため昨年船上でファイリングと整音をしましたが音のやせは変わりなく、今回はピアノを船から下して工房に持ち込んでのハンマー交換修理です。2か月後にオークランド最終寄港の際に載せて行くことになっています。

オリジナルの状態。HSW(ハンマーストライクウエイト:下図)は平均で指標11といったところでしょうか。サンプル鍵盤での測定ではBW(バランスウエイト)は35~43gとかなりばらつきがあり、FWはシーリング値よりも3~8g重い感じでした(下の下の表)。SR(ストライクレシオ)は5.9~6.1でした。
Purple dots on below smart chart is the SW of original hammers. It seems average 1/2 High, a bit heavier set even it was reshaped aggressively. Basic parameters were measured at sample notes, 35 grams to 43 grams of BW, 3 grams to 8 grams heavier FW and 5.9 to 6.1 of SR (or R).
オリジナルハンマー(かなり削り込んだ状態)のスマートチャート
Smart chart of original hammers


オリジナルの状態でのFW。C7の場合、測定によらない型板による鉛入れですが、こうしてみると意外にスムーズに推移しています。
FW at original condition. Key leading was done by template instead of actual DW/UW measurement, it seems quite smooth. However majority of them are heavier than FW ceiling.

3要素関連表でHSW#11、SR5.9でチェックするとBWは50gになりますが現状では35~43gとある程度普通の範囲に入っています。もちろんこの差はFWに行っているわけで、上図で現状FWをシーリング値と比較してみると、ほとんどの鍵盤でシーリング値を超えています。
On the parameter table, combination of #11 of SW and 5.9 of SR shows 50 grams of BW. Actual BW was much less than it. This gap went to heavier FW in this case (see FW graph above).

新しく付けるハンマーはアーベル社製のC7仕様のもの。チャート内で紫色のオリジナルに比べて、緑色で記した新ハンマーはかなり軽いようです(ハンマーウエイト:HW+シャンクストライクウエイト:SSWで推算)。低音と最高音はオリジナルと同様な指標10~11ですが、中音・次高音は指標8~9.5程度です。3要素関連表と平衡等式の試算から、HSWは指標9、BWを40gにするとFWがシーリング値マイナス3g程度が達成できるのがわかります。SRを一段下げるためにウイペンヒールへの厚紙挿入を行う予定です。
Proposed SW which is calculated by HW plus SSW (Shank Strike Weight) of new hammers is shown below smart chart at green dots compared with original SW (purple dots). We can look at Top Mid of SW from this new set of hammers. Then we will be achieving 40 grams of BW with 5.5 of SR and ceiling minus 3 grams of FW by spread sheet trial and the parameter table. I will reduce about 0.4 of SR by shimming wippen heel this time.


新ハンマーで指標9は低音を除いては問題なく達成できそうです。指標9の数値と比較しながら各ハンマーの事前テーパー削り量を設定し加工します。中音下は削らなくとも良い数値ですが、角度が付いているためシャンク部分から下は少し削って(0.1g程度分)完成時に両脇のハンマーと接触しないようにしました。次高音部は全く削らないハンマーもかなりありました。
Pre-taper hammers. Separate into 5 different categories, no taper (0 gram), very little (0.1 grams), little (0.2 grams), moderate (0.4 grams) and aggressive (0.6 grams) decided by each gap between proposed SW and Top Mid line.


接着後・シャンク端切断後HSW。スマートチャート指標1下の印は事前テーパー量、点は0.1g、小丸は0.2g、中丸が0.4g、楕円大丸が0.6gを目安としたテーパー量です。SW at after cutting excess shank in green dots. 

仕上がりの数値を意識しながらテールを削り、0.2g以上軽いものはハンマー鉛を入れて調整しました。低音部は元のハンマーが重くきれいには揃いませんでしたが、これでも十二分でしょう。中音から上は多くのハンマーに鉛を入れて調整したので、0.1g単位で調整することができました。
Majority of tenor and treble hammers were adjusted by hammer leads. Bass seems a bit uneven due to too heavy original HW.

最終仕上がりのHSW 
Final SW

組み込み・整調・整音後、最終整音前にBW基準の鍵盤鉛調整をしました。

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