2015年10月17日土曜日

スタインウェイのコンサートピアノのタッチウエイトマネジメント(後半)

HSW調整奇数鍵終了取り付け後の様子です。一本おきに調整されているので幅の違いがわかると思います。ハンマーフェルトの裾の角は隣と擦れないようにそぎ落としてあります。擦れているとタッチウエイトにして数グラムの抵抗になることもあります。

偶数鍵のHSWは奇数鍵とほぼ同じ傾向を持っていました。オリジナル(黒点)とHSW調整仕上がり後(赤点)のスマートチャートを次に示します。中音は目標をやや高めの設定にしましたが、オリジナルのハンマーが重すぎるものはそこまでもたどり着けませんでした。弾いた感じでは全く周りのとの差はないので、これで良しとしました。


HSW調整後、奇数鍵と同様の加工をしてアクションに取り付けました。
鍵盤バランスブッシングクロスは半カットし鍵盤に接着。ウイペンヒールには今回180番の布ペーパーを細く切って使ってみました。これまですべすべの厚紙を使っていましたが、布ペーパーは厚さも良好でずり落ちる心配もありません。もちろんサンプルでもその効果を確認しています。

鍵盤鉛は手前に入っていたものを事前に取り除いておきました。

バランスウエイトは最低音部46gから最高音部で38gまで基準値を変化させながら鍵盤鉛調整をしました。中低音域はやや重めのバランスウエイトで慣性モーメントを小さめに、次高音と高音域はバランスウエイトを低め、慣性モーメントをやや高めにすることを意識して調整しました。

これでフロントウエイトがシーリング値よりおおむねマイナス3g(高音)からマイナス8g(最低音)まで達成できました。鍵盤鉛はそれらの重心が鍵盤手前側の中央よりややバランスピン側に来るように気を付けながら配置してあります。また、隣同士の鍵盤でも鉛の位置関係をチェックして滑らかな慣性モーメントのつながりになるように意識しました。ハンマーストライクウエイトも調整してあるので、タッチの揃いはかなり良いはずだと思っています。私の弾いた感じでは以前よりかなり軽くなった感じがしました。

同僚に試弾してもらったところ一人は軽いのは良いが手ごたえが今一つ足りないかな、という感想、もう一人はこれでも少し重めに感じる、との感想でした。

納品先がかなり遠いので、検品にはNZで著名なオークランド在住のピアニストに依頼して試弾してもらうことになっています。どんな感想をいただけるのか楽しみです。



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