2013年12月9日月曜日

タッチを変える Page 30: タッチを変える方法とその効果(その2)

鍵盤鉛調整はここまで紹介してきたやり方を含めて実施するとタッチの変更に、より効果的です。単純に言うとタッチを軽くしたいときは鉛をなるべくバランスピンに近い側に配置し、重くしたいときは逆になるべく手前に配置するか、両側に鉛を配置することです。この操作で慣性モーメントが調整されます。目標にするバランスウエイト値で調整することによってバランスウエイトも設定できます。

鍵盤には鉛を出し入れできる広い領域がありますので、ある程度自由に配置を選ぶことができ、作業性も良好です。繰り返し調整できるのもメリットです。

フリクションの調整自体はセンターピン交換やブッシング張替え・調整など比較的簡単です。しかし全鍵のフレンジセンターや鍵盤ブッシング・鍵盤バランスホールを実施するとなると相当時間がかかります。しかしながらアクションがスティックなく、ガタもなくスムーズに動くことがピアノとしての最低限必要で、タッチの重さを調整することはそれからのことですから、ここはきちっとチェックしておかねばなりません。スティックしているとダウンウエイトが重く、アップウエイトが軽くなってしまうのでタッチが重いと感じられます。

ローラーやキャプスタンスクリューなど、部品同士が擦れあう場所は黒鉛等のこびりついた汚れをきれいに清掃して、適当な潤滑剤を使って滑らかな動きにします。

最後に上げたアクション部品の位置関係もアクションが正常に動くために必要な項目です。弦の高さとシャンクフレンジの高さ・ハンマーの穴あけ位置の関係、シャンクセンターとウイペンセンターの距離、2つのマジックライン(鍵盤-ウイペン、ウイペン-ハンマー)を適切に調整することなど、本来アクションがあるべき姿に戻すというのがこの調整の役割です。もっともこれによってタッチの重さが劇的に変わることはあまりないでしょう。素性のわからないアクションや過去に好ましくない修理が行われたと疑われるようなアクションなどはチェックしておくのが賢いと思われます。

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