2013年12月11日水曜日

タッチを変える Page 32+33: 終わりと補足


これでシドニーでの講義に使ったスライドショーは終わりです。お付き合いありがとうございました。

シドニーでは1時間半の枠でやりましたが、特に耳新しかったと思われる中盤の説明部分で質問が多々あり、時間を使ったため、後半は十分な説明をする時間が取れませんでした。参加者が理解しながら、疑問を解消しながらやるのであれば2時間半は必要だったかもしれません。

今回の日本語版では1日1ページ、アップロードしてきました。読んでいただいたみなさんには十分咀嚼する時間が取れたと思います。スライドによって内容の濃いものも薄いものもありましたので、間が空きすぎていたと感じる日があったかもしれません。スライドを日本語で書き直し、ブログに転載して解説を書き加える作業を1日1ページ行うのは結構大変でしたがなんとか終わりまでたどりついてほっとしています。

最後に補足を書き添えておきます。アメリカ人のピアノ設計者フランク・エマーソン氏による鍵盤鉛の重心位置比率の考え方です。この論文はピアノテクニシャンジャーナル2013年4月号で発表されました。

この比率は鍵盤手前側の長さと鍵盤鉛の重心位置を表した値です。数字が小さいと鉛の重心がバランスピン側にあり、大きいと鍵盤手前に近いということになります。彼の実験と研究によると、この値が0.429のときに、指で入力された加速度が最大の効果を発揮するということです。私の慣性モーメント計算表には参考のためこの数値を表示する項目(CoG (Center of Gravity) Position ratio)が入れてあります。この辺りはエマーソン氏も研究中のためこれに続く論文が待ち望まれる所です。私も計算表に入れてそれを独自に研究しています。

表では3つの鉛配置の例を載せました。それぞれ次の通りです。
例A:オリジナルの鉛配置、CoG値は0.731(慣性モーメントの最大値に近い)
例B:最小の慣性モーメント値を達成できる配置。CoG値は0.299
例C:CoG値0.429を達成できる鉛配置の例



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