2013年11月22日金曜日

タッチを変える Page 13: 慣性モーメントを算出する


理論的な慣性モーメントは、限りなく小さく分割した部分のそれぞれの質量とその部分の重心と回転中心の距離の二乗を掛け合わせて、全体に渡って足し合わせた数値です。上記の数式はそれを数学的に表していますが、参考のために上げているだけで、覚える必要はありません。

現実的には限りなく分けることも不可能ですし、それを合算することももちろん不可能です。ピアノ技術者が必要とする数値はそこまで厳密ではないので、私の分析では理論から見るとかなり大まかですが、あまり手数がかからない程度に分けて計算します。具体的なアクション部品の慣性モーメントの計算は次のスライドから見ていきます。ここでは、上図の物体の慣性モーメントを算出します。

天秤に使っている棒は重さがないとしています。天秤の両端のおもりは分割しないでそれぞれ一つの部分として考えてしまいましょう。そうすると、左のおもりは質量がM1で支点からの距離が l1なので、左のおもりの慣性モーメントは M1 l1となります。右側のおもりは同様に質量がM2で支点からの距離が l2なので、右のおもりの慣性モーメントは Ml2となります。

この物体は回転軸を中心に一体で動きますのでこの物体の合計の慣性モーメントMoIは、これら2つの部分を足せば良く、
MoI = M1 l1+ Ml2
で算出されます。

次のスライドでは実際のハンマーアッセンブリーの計測方法を説明します。







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