これまであまり分析されてこなかったグランドピアノのタッチウエイトですが、スタンウッドの研究を機に最近は次々と新しい研究が発表されるようになってきました。私も独自の研究を踏まえてそこに参加しています。その成果を少しでも広めようとこのブログを継続し展開していくことにしました。 ピアノ技術者向けの内容ですが、一般の方にもわかるような内容を目指したいと思います。
2013年11月16日土曜日
タッチを変える Page 7: フロントウエイト
スタンウッドの公式に現れる2番目の項目はフロントウエイトです。これは鍵盤をその支点(バランスホール中心)で天秤状態に置いたときに鍵盤手前の計量点(鍵盤前端から13mm内側)で測定した重さです。測定にはデジタル秤を使います。
スライドでは、自作のジグを使っていますが、スタンウッドはピアノテック(日本の代理店は渡辺商店)を通じて測定用のキットを販売しています。キットには解説書も付いています。
スライドの右下の写真は支点台に鍵盤を載せたときの様子です。真上から実際に覗き込むと中心線とその両側に白い面が見えます。中心線がバランスホールの中心に来るようにセットします。
スタンウッドのジグではバランスピンを利用して中心を決めていますが、個人的にはピンがあるとその摩擦で数値が変わってしまうので、バランスピンは利用していません。
高音側の鍵盤では手前の方が軽く、上記のやり方だと後ろに倒れて測定できないことがあります。その場合は10g程度の重さのわかっているおもりを使うことによって測定します。まず、鍵盤の載っていない状態で補助おもりとジグをデジタル秤に載せてリセットし(表示がゼロ)、続いて鍵盤を載せてその鍵盤の計量点の真上に補助おもりを載せます。すると鍵盤は補助おもりのおかげで手前が下がったままになり、測定することができます。この場合測定値が8gなどと表示されるので、フロントウエイトは測定値から補助おもりの値、この場合は8-10で、すなわち-2gとなります。
フロントウエイトは後で紹介する慣性モーメント計算表とスタンウッドの公式を結びつける大事な数値です。
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